クエの鳴く夜は恐ろしい

爆笑問題カーボーイ向けに投稿したショートショートショートを公開します

待ち伏せ

 孝夫は昌子から好意を寄せられている事は気付いていた。しかし、孝夫はそれを気付かないふりをしていた。孝夫は他に好きな女性がいるし、そのうちほとぼりが冷めると思っていたからだ。
 しかし、昌子の思いは変わらず、それが孝夫にとって重いと感じるようになっていた。
 ある日、孝夫が自宅へ帰ると、玄関前に昌子がいた。昌子は孝夫に気付くと微笑んだ。孝夫は言う。
「そういうの、重いんだよ」
「なんで」
「肩に、のしかかってくるんだよ。もうオレに関わらないでくれ」
「私じゃダメなの?」
「ダメだよ。お願いだから成仏してください」