引きこもりの息子

カウンセラー「息子さんが部屋に引きこもるようになってから何年になりますか」
母「高2からですからもう10年になります。息子の将来が心配で心配で……」
カウンセラー「高校はそのまま中退されたんですね」
母「はい。通信制の高校に転入後、通信制の大学へ進学し、主席で卒業しました」
カウンセラー「それは素晴らしい。普段は何していらっしゃるんですか。ゲームとか」
母「朝から昼間までは株式の売買、昼過ぎからは株式で儲けた資金で始めた会社の運営、夜は本の執筆をしています。単行本が100万部を突破し、かなり印税が入りました」
カウンセラー「金銭的には全く問題ないですね。健康面で問題は？」
母「毎日朝昼晩の筋トレは欠かしたことがありません。ルームランナーも常備しています。年に数度かかりつけの医者に来てもらい健康面の検査をして貰っています」
カウンセラー「健康面も大丈夫ですね。なにか精神的なストレスは解消できてますかね。友達と遊んだりしていないでしょうから」
母「10年以上の付き合いになる親友が数人と、SNSで知り合った友達が複数いるみたいです。時々部屋に呼んでは、インスタ映えする写真を撮ってます。家庭内でも親思いのいい息子です」
カウンセラー「それは良かった。ただ、このまま引きこもっていては恋人とか、結婚とか難しいというお悩みもあるのでは」
母「それがSNSで知り合った女性と結婚しまして。これがまた出来たお嫁さんで孫と楽しく暮らしています」
嫁「うふふ。いやですわお母様」
孫「バブー」
母「こんな息子ですが、なんとか社会復帰させたいのです。先生、お願いします」
カウンセラー「あのー。私が今日来た意味ありますかね」