どんな感じで
孝夫は探偵事務所のある雑居ビルに来ていた。ずいぶん前に片思いをしていた、女の子の行方を知るためだ。
「いらっしゃい。今日はどんな感じでいきましょう。いい子揃ってますよ」
ビルの前にいた男が孝夫に話しかけた。
「人を捜しているんだが」
孝夫は片思いだった女の子の写真を出した。
「あー、黒髪清楚系ね。じゃあレイちゃんなんかどうですか」
男はパネルにある、複数の女性の写真から一枚を指さした。
「私が探しているのは、レイちゃんという人ではない。昌子という人だ」
「あー、昌子ちゃんね。その子はいないなあ」
「だから探してほしいのだ」
孝夫は苛立っていた。男は少し考えてから答えた。
「じゃあやっぱりレイちゃんですねえ」
「レイちゃんしかいないのか」
「はい」
その日、孝夫はレイちゃんに一本抜いてもらった。